「求人を出しても応募が来ない」
「採用しても半年で辞めてしまう」
運送業界は今、深刻な人手不足状態です。
現場が疲弊するのを見過ごせない採用担当者の方に向けて、この記事では「応募者を集める仕組み」と「従業員が定着する仕組み」 を紹介しています。
物流・運送業界の現状

「2024 年問題」により残業時間の上限が設けられ、ドライバーの給料に影響が出ています。
長距離乗務のドライバーを中心に業界離れが加速し、物量は横ばいのまま人手不足が進行中です。
現場のリアル
長時間労働と歩合比率の高い給与体系ドライバーの給料は多くの場合、基本給が低く日々の歩合で収入が決まります。
「売上が無い日は日給7,000円。管理者会議に出ている余裕が無い」
中小企業に勤務しているベテランドライバーA氏の意見です。
歩合比率は平均 6 割で、物販ノルマも毎月出され、多い月は 5万円も自爆営業しているそうです。
関連記事:タクシードライバーになるには二種免許が必要!会社を選ぶポイントも解説
激安運賃の応酬で「価格崩壊」現場の悲鳴と今後
残業時間減少に合わせて多くの会社が運賃改定を実施し、従業員の賃金を守ろうとしました。
しかし一部事業者が値下げに動き、荷主はコスト優先です。荷主を取られた会社は対抗するために再び値下げを行い、運賃の削り合いが続いています。
- 「何のために運賃改定したのか分からない」
- 「最低運賃を法で決めてほしい」
利幅が縮小し賃上げ原資が残らない負の循環が進行中です。
人手不足を招く 3つの根本原因

労働環境・人口動態・業界イメージの3つが重なり、人手不足を強めています。
各項目に対して順に手を打つことが、改善への第一歩です。
労働環境:長時間労働と低賃金
長時間労働と低賃金が応募を遠ざけ、離職を引き起こします。
月間労働時間は全産業平均より約30時間長いのに、平均月収はほぼ同じ水準です。
仕事内容は3Kの代表格で、負荷と賃金が釣り合っていません。
- 歩合6割、売上のない日は日給7,000円
- 有給消化率28%で休みが取りにくい(休むと小言を言われる)
労働時間の短縮と固定給の底上げが、応募増と定着率向上の起点になります。
人口動態:高齢化と若手ドライバー離れ
高齢化と若手離脱が同時に進み、人員補充が追いつきません。
ドライバー平均年齢48歳、29歳以下は7%です。
定年退職が続く一方、若年層は「危険できつい印象」から業界を敬遠します。
- 大型免許取得費40万円前後で参入障壁が高い
- 高校訪問の内定率10%未満
免許費用補助と働き方説明会を組み合わせ、若年採用の活動を広げましょう。
社会評価の低さと事故リスク
危険で古い業界イメージが応募意欲を下げている原因です。
人身事故率は全産業の1.7倍です。ニュース報道は事故と長時間労働が多く、SNS検索では「きつい」「帰れない」が上位に出ます。
- 女性更衣室が無い営業所が3割
- 事故動画が拡散し応募が減少
安全投資と職場環境整備を発信し、安心して働ける会社だと示しましょう。
放置した場合のリスク「望まない未来」

人手不足を放置すると売上減・事故増・倒産連鎖が立て続けに起きます。
暗い未来を避けるには、損失額を把握して早めに対策へ踏み出すことが大切です。
売上機会損失と取引先離脱
売上機会損失と取引先離脱は最初に表れる損害です。
人員不足による配達遅延が生じると、配達荷物だけでなく、集荷する荷物も同業他社へ流れます。
荷主は「早く配達してくれる運送会社」を好むため、配達は最重要業務です。
しかし、人手不足による1人当たりの配達エリアが拡大しており、顧客ニーズと現場作業に乖離が生じています。
ドライバーへの過重負担
ドライバーへの過重負担は安全と健康を脅かし、事故発生率を押し上げます。
人員が足りないまま稼働本数を維持すると拘束時間が増え休息が削られるためです。
事故1件あたりの平均損失は300万円で、重大事故になると1,000万円を超えます。
解決策「4つの柱」で人を集め・定着させ・生産性を上げる

人手不足を解消するための有効な対策は、採用・定着・効率化・多様人材の4本柱を同時に動かすことです。
採用強化(インセンティブ制度)
インセンティブ制度を採用することで、求人票以外から人を採用しやすくなります。
従業員が自分の知り合いや、他社から経験者を引き抜くことで「即戦力」が期待できるためです。
- 社員紹介インセンティブ3万円、対象は全社員
- 紹介した従業員、入社した人にもお祝い金を支給する
紹介者に20万円のインセンティブ、入社した人に10万円支給している会社もあります。
定着率向上「給与体系・労働環境」を整え離職を防ぐ
離職率を半減させるためには、固定給を手厚くし労働時間を減らすことです。
収入や長時間労働の不安が解消されると、仕事と家庭のバランスが保ちやすくなります。
- 歩合6割→4割へ下げ、代わりに基本給+5万円を加算
- 荷待ち予約システムで待機を90分→30分
- 任意保険料会社負担、事故弁済ゼロ宣言
従業員が「安全・安心」に勤務できる環境を作ることが重要です。
業務効率化の「共同配送」でコスト削減
共同配送は「コスト削減」をする最短ルートです。
空車率が下がり、委託する会社は燃料費と人件費の削減ができます。
- 同一エリア2社で積載率50%→80%に統合
- 燃料費と人件費を削減し、空いた人員を他エリアに充当可能
受託する会社は、空車率が下がり運賃も収受できるので、まさに「WinWin」です。
多様人材確保「女性活用」の成功ポイント
女性比率を上げると採用母集団が拡大し評判も高まります。
安全意識とサービス品質が向上し荷主の信頼が深まるためです。
- 更衣室とパウダールームを休憩室隣に新設
- 女性には軽い荷物を扱ってもらい、軽バンで配送してもらう
- 子育て短時間勤務、1日6時間で月給は按分計算
設備と制度を揃えれば女性も働きやすい環境ができ、結果として1人あたりの負担の軽減が可能となります。
よくある質問(FAQ)

採用担当者が毎日感じる「なぜ?」を3つ選び、原因 と対策をまとめています。
Q1. なぜ応募が来ないのか?
求人票と検索露出が弱いと応募が届きません。
候補者は検索一覧で給与・休日を比較し、情報が欠けた会社を除外するからです。
- 見出し先頭に「月給32万円/週休2日」を明示
- 社員紹介インセンティブ3万円、全職種対象
待遇を前面に出し、検索面で埋もれない仕組みを作り応募数を伸ばしましょう。
Q2. なぜ退職者が減らないのか?
給与の安定性と休息が足りず生活不安が消えないため、退職が続きます。
歩合6割では繁忙期と閑散期の差が大きく、月収が急落するからです。
- 歩合率を4割へ下げ固定給+5万円を加算
- 荷待ち予約システムで拘束時間を月20時間削減
- 月1回の面談で従業員の心情を確認する
収入の安定と休息確保で生活を守れば、離職率を大幅に抑えることができます。
Q3. 今すぐ始められる低コスト施策は?
紹介制度は費用を掛けず効果が高い対策です。
既存社員が自社の魅力を語ると広告より信頼が高まり応募単価が下がります。
- 紹介成立1名につき3万円支給、支給時期は試用期間満了直後
- 入社した人にもお祝い金1万円を支給する
社内リソースを活かして、応募しやすい環境を作りましょう。
まとめ
人手不足は採用・定着・効率化・多様な人材を同時に動かせば好循環へ転じることができます。
短期で応募を増やしつつ、長期投資で残業と離職を削り、以下のような労働環境づくりを実施することが、人手不足脱却からの第一歩です。
荷待ち予約ツールの本格導入
荷待ち予約ツールの導入は、運送会社にとっても荷受主の会社にとっても、大変有効なツールです。
運送会社は荷待ち時間の削減ができます。受取側も効率的に人員を配置できるため、今後は必須のツールとなる可能性が高いです。
「夏はサウナ」「冬は冷蔵庫」と言われるほど、運送会社のホームは過酷な環境です。
熱中症対策が義務化されたことに伴い、「空調服」の支給をしている会社も増えています。
応募者にとって「給料」と同じくらい「労働環境」は、重要視するポイントです。
3Kから脱却し、誰もが「安全・安心」に仕事ができる環境を作っていきましょう。
好循環は最初の一手から始まります。
- 「未経験だから不安…」
- 「どの会社を選べばいいかわからない」
- 「安定収入を得られるのか心配」
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